映画「マチネの終わりに」感想

映画「マチネの終わりに」を鑑賞してきました。

 久しぶりに上演を心待ちにした映画の一つでした。と言うのもまず、福山雅治伊勢谷友介というイケメン2人が出演している、そして東京・パリ・ニューヨークが舞台になるとなれば、背景の景色も楽しめる。さらに40代を過ぎた男女の恋愛に自分自身を重ねてみたいという淡い期待が重なったわけです。平日の映画館はほとんどが女性で埋まっていましたが、中にはスーツ姿の男性の姿も。間違いなく石田ゆり子ファンと見受けました^^。映画を見にくる理由はそれぞれですよね。

 

 

matinee-movie.jp

<映画のあらすじと概要>
芥川賞作家の平野啓一郎氏の恋愛小説「マチネの終わりに」の映画化したもの。福山雅治演じる天才ギターリストの「蒔野」と石田ゆり子演じるパリで活躍するジャーナリストの「洋子」が、たった1度の出会いから恋に落ちていく話。洋子は婚約を破棄して蒔野の元に行くものの、蒔野のマネージャーである「三谷」(桜井ユキ)のある行動ですれ違うようになり、別れ別れになってしまう。その数年後、驚くべき事実を知って2人は再会するが…。

 

<映画の感想>
何と言っても、蒔野を演じる福山氏がかっこいい。「あなたが死んだら自分も死ぬ」「だから、結婚を止めに来た」とストレートに愛を伝える姿に終始ぼーとなってしまい、終了後も数日余韻に浸っていました。ギター音楽やパリ・ニューヨークの風景も場面をより一層盛り上げてくれるので、映画館で見るのがおすすめです。また、“未来が過去を変える”というテーマや、テロ、嫉妬・妬み、自己成長の壁といった要素も複雑に絡み合っていて、その中で翻弄される人間の姿に考えさせられることも多い映画でした!

 

【ネタばれありになります】

<テーマについて>

  • “未来が過去を変える”ってドキっとしませんか。

だって、普通は、「過去はもう変えられない。変えられるのは未来だけだ」ってよく認識されています。だからみんな、過去に蓋をして未来を見ようとしがちです。でも、この映画では、「未来は常に過去を変えている」(蒔野セリフ)と言うテーマが一貫して流れています。

  • 未来が過去を変える”って一体どういうことなんでしょう?

映画の冒頭、洋子が昔よくおままごと遊びをしていた庭の石で、おばあさんが頭を打って死んでしまったというエピソードが紹介されます。これは、「昔の楽しかった思い出も、嫌な出来事によって、もう楽しい思い出ではなくなってしまう。またその逆もある」ということを伝えていました。

思い違いや誰かの妬みやいたずらで思うようにならなかった過去は誰にでもあるでしょう。でも、そんな過去に縛られて生きていくことはないのです。見方を変えることで解放されて楽に生きられるようになる。過去は変えられないのではなく、変えることができる。これがこの映画で伝えようとしている大きなテーマだったように思います。

  • 「花の姿を知らないまま眺めた蕾(つぼみ)は、知ってからは、振り返った記憶の中でもう同じ蕾じゃない」

私が印象的だったのが、三谷が真実を知った蒔野に言ったこの言葉。真実を知ってしまったら、もう自分と蒔野は元のようには戻れない。だから自分はもう身を引きますという三谷の思いだと解釈した一方で、一緒になることのできないまま別れたあなた(蒔野)と洋子だけど、真実をしった今は、また愛し合うことができるでしょう、というメッセージも重なっているようにも思いました。でも、蒔野がいつもポーカーフェイスというか、天然というか、飄々としていてこの言葉をどう受け止めたのか?私にはわかりませんでした(涙)。この場面、ちょっと難しかったです。

<私の引っかかりポイント>
・主人公は三谷だったのか?
蒔野と洋子の2人にクローズアップされていますが、真の主人公はマネージャーの三谷かもしれない。そう思いませんでしたか?彼女の人生こそすさまじくドラマチックです。けなげに蒔野を支え、ずっと自分は黒子でいいと思いながらも、いつか自分のことを想ってほしいと願う一人の女性。彼女がとっさにとった行動は許されることではないと思うのですが、私はどこか共感もしました。「自分が一番蒔野のことを理解している」「自分の方が蒔野を幸せにしてあげられる」「自分だって幸せになりたい」。こんな思い、したことありませんか??私、ありますー!でも、三谷があまりに用意周到な工作をして2人をだましたたことで、共感されない方が多いのだと思います。なかなかここまで行動はできません。そしてそれをまた自分で壊してしまうところも、なかなか理解しがたい。でも、必死になった時の女性って、こんな風になんでもやってしまうんだと感じました。

  • この後、蒔野と洋子の2人はどうなるの?

という疑問がわきますよね?あー、ここで終わるなんて!とむずむずしてしまいました。でもきっと、蒔野と洋子は想いあっているので、ほうっておいても自然と結ばれる運命でしょう。だから私はやっぱり、今後の三谷のことがきになりました。三谷はギターリストとしての蒔野の才能に惚れていてその才能を伸ばすために必要なのは自分ではなく洋子だと、最後まで蒔野を第一に考えている面が強調されていました。でも、そこまで割り切ることってできるのでしょうか?割り切れなかったから、マネージャー以上になろうとしたんですよね。でも、相手から愛されず、義務や責任だけで一緒にいられるのは女性には一番つらい気がします。だからもし、蒔野が三谷を許して一緒にいることを選択したとしたら、それは本当の自分の気持ちに嘘をついていることになるし、三谷を自由にしないことで三谷の真の幸せを奪うことになる。だから、三谷は別れを選んでよかったんだと私は思いました。

  • 大人の恋は相手を突き詰めない?

互いに核心まで突き詰めないのが大人の恋の?映画中、ずっともやもやしていました。もっとはっきり言って!と思うのは私がお子様だから?しかも別れてから一途に想い続けるわけではなく、それぞれ元のさやに納まったり、身近な人と結婚して子供もすぐ作って普通の人生を歩みだす。あんなにロマンチックな関係だったのに、すぐに現実的に行動できるのも大人だからなのか?ちょっと大人の恋を勉強しました。

洋子の婚約者としてリチャード役を演じた伊勢谷友介氏の英語力がすごすぎて、他の出演者との差がありすぎ!かっこよかったです!

プロフィール
id:はてなIDをここに入れる
名前・ニックネーム等

ブログの説明等

##ブログ名をここに##をフォローする